今も昔も、人々の生活に寄り添う多摩丘陵

日野市の南部にかかる多摩丘陵は、固い地盤と安全な標高を有し、巨大地震や水害の頻発する現代にあって安心できる地域です。また多摩動物公園やいくつもの自然公園、ハイキングコースが整備され、人々の憩いの場としても親しまれています。さらに古墳の出土や鎌倉時代・江戸時代の武士たちの痕跡が残るなど、古くから人々の生活に身近な場所であったことが伺えます。

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市内南部に広がる災害に強く安全な大地

日野市の地形は、大きく3つに分けられます。まず市内北部を流れる多摩川流域と市内中央部を流れる浅川流域の低地。次に浅川左岸に広がる2段の段丘崖の台地で、その上には住宅地や工業地が建設されています。そして右岸に起伏の富んだ丘陵地「多摩丘陵」の一部が市内南部にかかっています。

標高は、その多摩丘陵の180mが市内最高部となっており、その麓には68mの高さに位置している「高幡不動駅」があります。見てお分かりのように高低差は100m以上であることがわかります。

それだけの標高に位置する多摩丘陵では、市が発表するハザードマップにおいて浸水域はほぼありません。また東京都都市整備局が平成25年に発表した「第7回 地震に関する地域危険度測定調査」では、丘陵地における建物倒壊危険度や火災危険度が、最も安全なランク「1」でした。ちなみに墨田区の例を挙げると、ほとんどの地域がそれぞれの危険度が「3」以上という高い数値を示しています。

地形を活かした施設が整う憩いの場

標高も高く地盤も固い多摩丘陵には、他にもさまざまな魅力があります。まずは1958年に開園した「多摩動物公園」です。恩賜上野動物園の約4倍の広大な敷地に、約320種、22,000点の動物や昆虫が飼育されています。特徴は、丘陵地の地形にあわせた無柵放養式展示。中でも2005年に、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための方策を評価する「エンリッチメント大賞 飼育施設部門大賞」を受賞した全長150mの「オラウータンのスカイウォーク」は、頭上を渡るオラウータンの姿が見られ、訪れた人々を驚きと興奮で包み込みました。

また峰がいくつも連なる多摩丘陵の地形は、ハイキングコースとしてもたいへん人気となっています。多摩動物公園駅から七生丘陵を通り、都立平山城址公園を経由して平山城址公園駅まで行く「七生丘陵散策西コース」や、高幡不動尊から七生公園まで続く「かたらいの路(多摩丘陵コース)」、そして南平駅から七生公園までの道のりを歩く「南平丘陵散策コース」と3つのコースが整備されています。

いずれの道も住宅地や団地の中を歩く場所があり、様々な年代に建てられた建築物を見ることができます。さらに牧場やお地蔵さんが佇む道があったり山桜や野生のキジが見られたりと、さまざまな発見や自然とのふれあいが待っています。

他にも、石器時代の古墳が多数出土していたり、鎌倉時代の武士団や新撰組の近藤勇が通った山道が残っていたり、古くから人々の生活に身近な地域であることが伺えます。
また、宮崎アニメ「耳をすませば」や「平成狸合戦ぽんぽこ」では、この丘陵の一部である聖蹟桜ヶ丘の風景や多摩ニュータウンがモチーフにされています。こうして見ると多摩丘陵は、いつの時代もどこか人々を引き寄せる自然の力があるのかもしれません。